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~DISCOVERYではたらく人々 第13回~
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第八回は、食幹ソラマチ店の渋谷洋輔です。ディスカバリーで最年少のマネージャー就任。一体何歳?どんな人?「落ち着いていて慌てることがない」という評判通り、インタビューではクールガイ(というかシャイ…?)でしたが、さてさて。
(インタビュー・恩蔵あゆみ)
いま22歳です。(※取材日は昨年12月)2017年元旦で23になります。生まれた瞬間に運使っちゃったんですよ(笑)
役職はソラマチ店のマネージャーです。仕事内容は発注からシフト作成から…ソラマチさんと色々やりとりもします。対外的な打ち合わせも全部ですね。フロアでは僕ともう1人が社員であとはアルバイト。社員じゃないから、彼らのモチベーションを上げることなども色々考えつつ全体を見る。というわけで、全部やる感じですね(笑)
最初はアルバイトから入りました。高校卒業して専門学校に入った時、2012年ですね。
ソラマチ店で先に友達が働いてたんですよ。バイト探してて「どこかない?」て聞いたら「ウチはどう?」と。週2か3でやってました。純粋にお金を稼ぐためだったので思い入れは特になく。2年間続いたのも、新しく探すが面倒なので続けていたという…(笑)
スポーツ系の専門学校だったんですが、就職先がスポーツショップの販売員以外、ほぼない。そういうのじゃないんだよな…と思い。まあ予想はしてたんですけど、専門卒がスポーツメーカーでいきなり働けたりしない。で、就活せずにそのまま。
いや、もうやるしかなかったんですよね。探せば他にあったかもしれないけど、とりあえずやってみようかなと。「将来この業界で…」というのもなかったんです。
そう、フーッて入りました(笑)いやだと思うところも特になかったし。
最初は分からなかったですね。自分の中ではバイトとは違うって思うんですけど、やっぱりどこか延長線で考えてしまうところがあったと思います。
(意識を変えた)きっかけは特になくて、やっていくうちに「このままの意識じゃダメだな」と。シンプルに責任感が全然違ったので。バイトなら上に投げればいいことも、自分が謝らなきゃいけなくなった。それとバイトの子たちの意識とかも全て僕次第になったので。
色々あって…若かったんですかね(笑)
それで4社くらい飲食店の面接受けて全部受かったんです。その中でいちばん条件のいい汐留の42階のレストランで働き始めた。でもやることがアルバイトと一緒で。単純にオーダーとって、作業。以上、みたいな。それが面白くなかった。
客単価2〜3万くらいで学ぶこともたくさんあったんですけどね。みんなよくしてくれたし、僕も頑張ったんですけど。バック厨房だったのでホールとキッチンは完全に分かれていて、席も100席以上あって、キッチンさんとは全然関わらない状態。
そうですね。お店自体がまとまってなかった感じだったので。そこには3ヶ月しかいなかった。それで「とりあえずディスカバリーに戻ろう」って思いました(笑)出戻りってレッテルは貼られるだろうけど仕方ないなと。
はい、あんまり気にしないです。
なくはないと思いますけど、「これだ!」っていうのはよく分からない(笑)でも、接客していてもお客さんが次なに考えるとか、わりと分かる方だと思うんです。この人多分こういう人だなとか、大体当たるタイプかもしれません。
いや全然(笑)とりあえず何とかなるだろう、と。戻ったからもう次のチャンスはないと思ったので、そこで初めて腹が決まって、そこからはもうしっかりやらせてもらってます。戻ったのは2015年の2月で、その年の10月にアシスタントマネージャーになりました。
「お客さん第一」なのは基本ですよね。何が欲しいのか、そのテーブルに何が必要なのかすぐ察するのは基本。それは常に考えています。もうすぐ呼ばれるなとかも、感覚で分かりますし。
「お客さんの気持ちを汲み取ること」ですかね。優先順位はお客さんが一番で。もちろん料理を見つつ、他の従業員の動きも見つつ。今はそれができますけど、戻って最初の頃はもうお客さんのことだけですね。決められた担当の場所をミスのないよう気をつけて…という感じでした。
それは基本ですね。「すいません」と言わせてしまったらもう遅い。居酒屋とかなら全然いいですけどここではダメ。バイトの子にもそれは言ってます。自分もバイト時代にはできてなかったと思うけど。いつからできるようになったとかよく分からないんですよ。ある日急にできたりはしないんです。筋トレと一緒じゃないかなと。
そうですそうです。だから「僕独自のこだわり」や「きっかけのエピソード」みたいなのはなかなかないんですよね。
お客さんに飲み物かけちゃったことはあります。1回だけ。アルバイトのときですけど、飲み物持って行ったときに倒してバーッとこぼしましたね、お客さんに。
そうですね。ミスには絶対に気をつけてます。なので、下げものとかも無理して持って行かない。別に急ぐ必要がなければ一度にたくさん下げたりしないようにします。焦らないように。それは気をつけてますね。
自信というのはそんなにないですよ。あ、もちろんなくはないです。でもありすぎないですね。ただ「あの時ダメだったな」とかは思わない。後悔はしたことないですね。
中学の成績なんて上から数えた方が断然早いくらいで、高校もかなりの進学校へ行って、でもそこで周りと違ったんですね。色々あって友達もできなくて。半分以上がMARCH(明治・青山・立教・中央・法政)行くような学校。そんな中で専門学校行ったからコンプレックスみたいなものはあります。それでも勉強を選ばなかった。「勉強しときゃよかったかな…」っていうのはないんですよ。
今はこれしかないと思ってやってます。追い込まれた方がやるタイプかなと。「とりあえずはここでやるだけやらないと」という。天職とまでは思ってないです(笑)でも、嫌いじゃないから続いてるんですよね。
「4年間ムダだな…」と思ってしまったんです。行く意味が分からなかった。早くお金がほしかったのかな。多分行っても辞めてたと思います。で、最短で就職できてスポーツだし…と専門学校入ったけど違いましたね。
でもそこからはディスカバリーに関わっている時間が一番長くて、出戻って今も続けているということは、自分の中でやりがいを感じている…ってことかもしれない。
今は楽しいです。(理由は)周りの方々ですね。一緒に働いている人たち。いまのソラマチはチームワークがいいと思うんです。バイトの子以外は全員僕より年上ですけど、それは特に苦にならないです。
田島さん(ディスカバリー取締役)と武藤さん(ディスカバリー専務)に呼ばれて。「何かやったかな俺…」と思いながら行って(笑)そしたら「マネージャーに」と言われて。泣きましたね。
なぜか分からないけど、泣きました。今まで特に何も言われずに淡々と黙々とやってきたんですけど、認めてもらえたのがうれしかったんだと思います。
田島さんは僕のこと分かってるからあえてだと思うんですけど、それまで全然褒められたりしなかったんで、余計。
それはないですね。だったらやって結果を出す。「褒められて伸びる」とかはないです。それって超甘いじゃないですか。
「ありがとうございます!」と。
めちゃめちゃ変わりましたね。重さというか、責任が。より一層、集中しないといけないなと。
それはアシスタントマネージャーの時からそうでしたね。シフトも「俺やりますよ」っていってやってたので、その時から考えながら組んでます。まあ早く何でもやりたかったので(笑)
「平等」ですね。誰も特別に可愛がらない。
評価は他人がするので、できてるかできてないかは分からないですけど、僕の中としては平等に。えこひいきなく、男だから女だから、可愛いから可愛くないからとか、そういうのはなく。特に女性は平等に扱わないとすぐに伝わる。そこは本当に気をつけています。
そこもコミュニケーションとっています。キッチンさんもみんな話しかけたりしてくれるんで、バイトの子も恐れたりしないですし。そういう意味で今すごくいい環境ですね。最近はみんなに気軽に話しかけるようにしてます。「あの子疲れてるな」と思えば気を使ったり。
話しますね。説明します。確かにそこは難しいんですけど、しょうがないんで。そんなに強要とかはしないです。
組織の中で意識の差は出てきますけど、全体である程度の差の範囲内でとどめておけるようにパランスとってますね。
あまり思わない。最初は思ってた時もありますけど、それに腹を立ててもしょうがないなと。ただ「違う」と思ったことは言う。「これは違うんじゃない?俺はこう思うけど」って言います。でももうほんとにみんな大人なんで。バイトで学生もいますけど、いまは苦労してないですね。
このまま…ですね(笑)いい意味で。
それはまだいいです。まだまだだと思うんで。逆に言えば「まだ(上にいけないの)?」くらいに自分で思えるようになれたらいいですけど、全然なので。いまは目の前のことを一生懸命やるだけです。
こっち側も楽しくて、お客さんも楽しい気分になれたら一番だなと。
お客さんはある程度のサービスを受けて美味しいもの食べれば満足はしてもらえると思うんですけど、こっち側は楽しいかどうか、いちばん難しいところで。逆にそこが楽しければ、お客さんもさらに楽しくなれるのかなと思います。
それもありますし、従業員の間でいちいちコミニュケーションをとらなくても済むくらいの営業ができればすこくいいなと。コミュニケーションの量ももちろん大事ですよ。でも「この人こう考えてるな」って全員が共有できればすごく強い。
一体感というか、お互いのことを何となく分かっている感じ。そうすればサービスにも余裕が出てきて質も上がると思うんです。そのためにはお互いへの思いやりが必要ですね。
そう…かもしれないですね。出さないですけど(笑)
今風なところ(笑)堅苦しくないところがいいと思います。僕なんか22でマネージャーにしてもらっている。飲食って基本的に年功序列ですからね。確かに年功序列じゃなくなると生産性が落ちたりする部分はあると思うので一長一短ですが、若い子にしたら面白くないんですよ。なので若い僕としてはこういう会社は好きです。上下がないというか、チャンスがあるのがいいなと。
今は何でもやるしかないんでと思ってます。今のところ結果は出ていますね。
ウィークポイントは多いかもしれませんね。ソラマチ自体の年間来客数は年々下がっているし。でもその中でうちはキープというか、比例して下がってはいないんです。今年に入ってから下降しかけたんですが後半からは戻ってきたので、企画の効果はあるのかなと。
お客さんを逃してるとは僕たちは思ってないんですよ、バイトの子でさえ。逃すようなサービスしてるつもりはないから。でもリピートは施設柄難しかったりするので、色々やっていくしかないと。
ソラマチさんから「水族館のチケット見せたらワンドリンクサービスどうですか」とかあるので、今はそういうの全部やるようにしてます。
フロア担当の方と仲良くさせてもらっているんで、密に話して。ホームページのことも色々聞いて。前までは「そういうのはいいか」って言ってたんですけど、今は何でもやってみようと。30階にはフラッと入ってくるのが難しいのでね。
景色がいい!(笑)あとは、気楽に食事できるんじゃないかな。夜景見ながら気楽にごはん食べられるとこってあんまりない気がするんですよ。
そこがいいと思うんです。本当に堅苦しくないですし、でも安っぽくはない。そこを僕は常に意識していますね。
そうですね。そこがウリです。
デートだとしたら、女の子的にも楽じゃないですか。バッチバチのとこに連れて来られると怖いけど(笑)ここならちょうどいいと思うんです。でも景色とサービスと味にはきちんと満足してもらえる。
一緒につくっていきたいですからウエルカムですね。
いまはとりあえず目の前のことを一生懸命。12月まではいい調子できてくれたので、1月以降もっと盛り上げていきたいです。
お酒が好きなので飲みに行きます。地元が京成立石で、もう飲み屋しかないんで(笑)あとは温泉が好きです。二連休とれたら絶対温泉。近場も行くし、先日は金沢の温泉に行きました。休みのときに身体だけ休ませてもしょうがないので、家でゴロゴロすることは月に一度あるかないかですね。
自分を多く語らない。思いを簡単に教えてくれない。そして照れ屋さん。なかなかインタビュアー泣かせの渋谷さんでしたが(笑)合間にチラリとのぞく熱さが、彼の真の姿なのかなと思います。
「どこか憎めないキャラ。肝心な部分は抜け目なくやるし、要領がよくこの若さで実に処世術に長けています。これは努力して後天的に身につくものではなく、先天的なもの。持って生まれた最大の武器といっても過言ではないでしょう。物事に対してポジティブシンキングができることも彼の強みです」(田島談)
「お客様への対応も良いし、新入スタッフに教える時も解りやすく伝えられる。『こいつなら店舗をまかせられる』と思わせてくれる」(武藤談)
ソラマチ店もこれからの彼も、どんどん大きくなっていく予感がひしひしとしています。